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レラくる北海道石狩市

札幌市の中心部から北へ約15km。日本海と向き合う小樽市から石狩市にまたがるエリアに、道央圏の物流・産業・交通の拠点である石狩湾新港があります。工業団地には650社を超える企業が操業しています。石狩新港地域は、産業拠点として電力需要も高く、恵まれた風況や広大な土地があるなど、数多くの優位性を抱えていることから、風力、太陽光、バイオマスといった再生可能エネルギーの発電所や、液化天然ガス発電所などが集積しています。

2018年12月、その工業団地内に7基からなる当社の「レラくる」(正式名称:石狩コミュニティウインドファーム)が運転を開始しました。石狩湾新港地域では1年を通じて強風が吹き、地上高70mで概ね6m/秒台後半の風況が期待できます。この恵まれた風況を活かして、石狩放水路沿いには、2005年(かぜるちゃん、かりんぷう)と2008年(かなみちゃん)合わせて3基の市民風車が誕生しています。その後、送電線容量の不足から長くチャンスが巡ってきませんでしたが、「3.11」によって電力事情が一変し、2011年9月に北海道電力が風力発電事業を公募することに。2012年2月に約10倍の競争を経て当社が選ばれました。

これまで市民風車では、1基の事業でも自主アセスを実施してきました。「レラくる」でも北海道電力の抽選結果を得て、2012年5月に環境アセスメントの手続きを開始しました。なお、同年10月には改正環境影響評価法が成立し(2013年4月完全施行)、出力1万kW以上の風力発電所が第1種事業として法に則った手続きが必要に。その後は同法に則り、環境影響評価手続を5年がかりで進めました。建設資金については、地元銀行などからの融資で調達し、市民参加と地域還元を重視する方針から一部市民出資が入っています。2017年6月に着工。工事自体は港や送電線までが近いことから順調に進捗し、環境アセスメントの手続きから約7年かけて営業運転に至りました。

3,200kW×7基、出力調整により合計出力2万kWという規模は市民風車では最大となります。年間発電量は約5,000万kWh超と想定。一般家庭の使用量に換算すると、1万5,000世帯分に相当する規模です。2001年稼働の「はまかぜ」ちゃんに始まったコミュニティエネルギーの取り組みは、2018年12月稼働の「レラくる」含め全国31基、総出力63,965kWとなり、再生可能エネルギー市場の一翼を担うまでに成長しました。

19 レラくる
発電所名:
石狩コミュニティウインドファーム
事業主体:
株式会社ウイネット石狩
運転開始:
2018年12月
出資者数:
91名
設備能力:
3,200kW×7基
(出力調整により合計出力を20,000kWとする)
風車機器:
ローター直径103m ハブ高85m
GE Renewable Energy社製

北海道石狩市石狩湾新港地域