風の強い故郷を誇りに思いたい
パートナー
当社が手掛けた市民風車は、2019年10月現在37基。その多くは、NPOや市民の皆さんの理解があったから竣工できたものだ。「自分たちの力でクリーンなエネルギーをつくりたい」という想いが全国に広がり、日本のエネルギーの流れを変える大きな力になった。
NPO法人ひとまちつなぎ石狩
2004年5月、札幌市の北隣に位置する石狩市で“市民力で元気なまちを”をテーマに設立。「市民活動支援事業」では、「石狩市市民活動情報センター」の指定管理者としてNPO法人化などの活動相談をはじめ、コピー・印刷サービス、図書貸出サービス、体験自然エネルギー教室やまちづくりラウンドテーブルといった講座やミーティングを通じて地域の活性化を支える。「地産地消事業」では、「季節を楽しむ地産地消」講座や稲穂を使ったリース講習会、農家の落花生栽培を応援する活動などを続けている。
笑顔が咲いた「レラくる」竣工記念セレモニー
北海道石狩地方。西に日本海が広がる石狩湾新港地区に
当社の「石狩コミュニティウインドファーム」が
運転を開始したのは、2018年12月のこと。以来、順調に電気を作り続けている。
その竣工記念セレモニーが、絵に描いたような青空が広がった
9月8日、4号機敷地内で盛大に催された。
来場者は、地元来賓、市民出資者、銀行、建設工事会社など、約200名。
Y0SAKOIソーランチーム「石狩流星海」による溌剌とした歓迎の舞いに始まり、
謝辞と祝辞、愛称に選ばれた「レラくる」の名付け親の小学生と
無事工事を完了していただいた建設工事会社への感謝状の贈呈、
さらにはゲストミュージシャンによるパワフルなスペシャルライブまで。
石狩の爽やかな風と熱気を感じながら、3時間のイベントを皆さんと楽しんだ。
当日の飲食サービスは、5年前に催された
「厚福丸・あい風未来」竣工記念セレモニーのときと同じく
「厚田おもてなしスタッフ」に協力していただいた。
NPO法人「ひとまちつなぎ石狩」もお手伝いして
初秋の地元食材をふんだんに使った料理は、来場者に大変好評だった。
人と人、人とモノを結んで、地域を元気にする
地域の人が地域の良さを共有し、人と人、人とモノを結ぶ
楽しい企画を通じてまちづくりを考えたい---。
そうした想いの市民が集まって
2004年に「ひとまちつなぎ石狩」は設立された。
現在の事業の柱は、市民活動支援と地産地消だ。
石狩市が市内の市民活動を支援する「石狩市市民活動情報センター」を
設置することになり、その指定管理者に選定。
個人や団体からの活動相談、まちづくりの相談から、打ち合わせスペースの利用、
印刷機・コピー機の貸し出し、図書貸出・返却サービスなどの業務を担う。
また、「中古本リサイクル市」や地元の活性化などをテーマにした
「まちづくりラウンドテーブル」なども毎回多くの参加者を集めている。
石狩市内にはこだわりの野菜や産物などを作る農家やNPOがありながら、
地域の良さに気づいていない市民も少なくない。
そこでNPOの設立直後から、地産地消事業に精力的に取り組んできた。
2015年には農家さんと「石狩落花生研究会」を立ち上げ、
種まきから収穫までを市民と共に手伝いながら楽しさ、おいしさを体験している。
今年からは地元野菜の収穫、調理・保存、食材選びのヒントなどを
1年間にわたって学ぶ「季節を楽しむ地産地消」もスタートさせた。
「落花生研究会」が収穫をお手伝い
「まちづくりラウンドテーブル」
10回目となる「中古本リサイクル市」
親子でジャガイモの収穫体験
「ミニ風車づくり」が環境を考えるきっかけに
「ひとまちつなぎ石狩」は、市民風車「かなみちゃん」の
事業主体でもある「北海道グリーンファンド」との交流が長く、
環境やエネルギーに関する企画を連携して行っている。
「体験自然エネルギー教室」は今年が8回目を数えるもので、
市民風車の見学とペットボトルを使ったミニ風車づくりが人気。
現地体験や工作を通して子供たちが
エネルギーや環境を考えるきっかけを提供している。
昨年11月に開催した「エコと防災ミニメッセin 石狩」では、
地球温暖化の影響や被害を減らすための取り組みを学び、
お天気キャスターを招いて防災に関連した天気の話を聞いた。
専門家による節電・省エネアイデアの紹介には、
2カ月前に大地震とブラックアウトを体験したばかりだっただけに
参加者のまなざしが真剣そのものだったという。
夏休みの人気講座「ミニ風車づくり」
親子で市民風車「かなみちゃん」を見学
市役所職員が台風被害を説明
専門家を講師に招いて「エコと防災ミニメッセ」
自然エネルギーの推進を裏方として支えたい
昔から石狩に暮らす人々にとって、海からの強い風は厄介者だった。
それが今は巨大なブレードを勢いよく回して電気をつくり、
再生可能エネルギー関連施設の集積地として注目を浴びるまでになった。
風力発電所を巡ってはいろいろ議論があるが、
それでも理事長の羽田美智代さんは自然エネルギーを増やすべきだと考える。
「地球温暖化がクローズアップされるようになってから、
電力会社がつくるエネルギーしか選択肢がない生活を
変えたいと思いながら、ずっとできませんでした。
それが2001年に『はまかぜちゃん』が建った事実によって、
全国で電力会社に頼らず自然エネルギーをつくるという流れができました。
景観などの問題も聞かれますが、それを乗り越えなければ
日本のエネルギー政策が進まなくなるという想いの方が、私は強いですね。
石狩の場合、新港の工業団地内に建てるのなら受け入れてもいいと思います。
風況の適地でしか風力発電所は建てられないんですから」
「ひとまちつなぎ石狩」では、今後も市民活動の支援を中心に事業を進めていく。
環境問題については、さまざまな講座に盛り込むなど
裏方として自然エネルギーの推進を支えたいと考えている。
風の強い石狩という故郷を誇らしく思う市民が増えることを願って。